はあ。
じゃあ、一声叫んで安心した所で始めますかね。(お前は一体何なんだよ!?)
この作品は、東宝がストライキの嵐の時期に制作された作品です。
1947年に企画された物が、ストの所為で中断。49年になって、東宝は「東宝撮影所をプロデューサーに貸し、各プロデューサーが「独立プロ」として映画を作る」と言う方針を打ち出しました。
その形で制作されたのは、結局僅か5本でしたが、その内の一本がこれ。だから、「東宝・49年プロ作品」等という変なお冠が付く訳です。
この前の年にも、東宝は四本しか映画が作れていません。「来なかったのは軍艦だけ」と言われる東宝スト騒動は、さぞや凄いシロモノだったのでしょうな。
さて。そうして制作されたこの「ジャコ萬と鉄」
脚本がキレていて退屈せず、今見ると却って「にしん漁場」「出稼漁夫」などがアナクロで新鮮です。
1964年には、深作 欣二監督/高倉 健、丹波 哲郎主演でリメイクがされておりますが、三船ファンの私としては「ンな偽物が見られるか!!」で、見ておりません。ファン心だ。許してくれ。
で、この作品。
はっきり言います。萌え映画です。(絶対違います)
少なくとも三船ファンには悶絶クラスの萌え映画です。萌え映画なんですってば!
兎に角、鉄(三船)が可愛い。可愛いったら可愛い。何が可愛いって全部漏らさず可愛い。
自己中でごうつくばりなのが災いしてジャコ萬(月形 龍之介)から追い回される羽目になる九兵衛(進藤 栄太郎)と、ジャコ萬、漁夫達の三者の間に立って闘うのが、主人公の鉄です。
ともすれば深刻な話になりがちなのに、全くならないのがこの鉄のキャラクター。おおらかと言うか何と言うか。八方に目が届いて気が利いて、その癖開けっぴろげで憎めない。おまけに滅茶苦茶純情と来た! も〜〜〜〜〜〜〜、可愛い!!
しかしまあ、フィルムの保存状態が目茶悪でしてね。劣化なんて生やさしい物じゃありません。
キャプチャってもぼやけた画像にしかならず、そこから絵に起こしても苦しい事この上なし。
三船のかわいさが再現出来にくいのが悔しい!!
親父の九兵衛に飛びかかられ、反射的に突き飛ばしてしまい、お母ちゃんに怒られて、その後九兵衛にぼこぼこ殴られるシーンがあります。
その間、手を出せずに困り顔で上目遣いに九兵衛を見ているカットが有りまして!(加速)
この上目遣いの表情は、三船お得意の表情なんですよ。(更に加速) 拗ねてるやんちゃ坊主まんまで、も〜〜〜〜〜〜〜〜〜可愛い事この上無いんですよ!! 是非見せたい!!
…と思って描いたんですが、どうしても可愛くならなくてボツ。くうう、手前ェの腕の無さが恨めしいぜ。
本物は滅茶苦茶可愛いです!! 本当ですよ、も〜〜〜〜〜(中略)可愛い!!
登場シーンが雪原で林檎食っているシーンで、大きな雑嚢を肩に担いで、しゃくしゃく食う口許が可愛い。
舞台が北海道なので、父、母、姉をそれぞれ「おとちゃ」「おかちゃ」「あねちゃ」と呼んでいるのも可愛い。
やるべき事はちゃんとやって、人の恋路もきちんと実らせて、その癖自分は告白すら出来ず、家族を思って去って行くのがもう!!