熱い吐息

           by なるこ



あなたの吐息を感じると嬉しくて嬉しくて
飛びつきたくなる
抱きしめたくなる
好き好き 大好き とても大好き

あなたの上で
クルクルまわして
あなたのたくましい腕に埋もれたい
好き好き 大好き とっても大好き
あなたのあつい胸板の上で鼓動を感じたい

それだのに何故
僕があなたにふれようとすると
血の匂いがただよい出す

これは誰の血?
僕の血?
……あなたの血?

手を差し伸べようとしても
届かない
全てがスローモーションになってゆく

あなたの熱い吐息
こんなにも近く感じるのに
ふれることの出来ないこの感覚

これは何なのだろう?
何もわからぬまま
その血の匂いに悲しく酔うしかない僕

――穂邑に捧ぐ――


 

 
砂嵐

           by なるこ



苦シイ 苦シイ 苦シイ
寂シイ 寂シイ 寂シイ
悲シイ 悲シイ 悲シイ
あのあたたかなぬくもりが目の前で血をふいた時
いろんな負の感情がさかまき、荒れ狂う冷たい砂嵐となり、胸に穴を開けた

その穴から砂があふれ出て、全身を虚無感で染めてく
時が重タク苦シク感じる
どうにかしタイ
だが、この砂嵐は穴にこびりついたまま、砂塵を吐き出すばかり
己の虚シサを実感するばかり

胸に手をやれば引き剥がせるかと思ッタが、肉体というオリに阻まれ
嵐は静かに荒れ狂い、砂塵が舞うばかり
このオリをどうにかしようと苛むが
嵐に手が届く前に肉体が音をあげ
唇からタメイキがもれる
この嵐を拭い去れるのはあのあたたかなぬくもりのみ
そのぬくもりも今はこの世になく
それが為に砂嵐が穴にこびりつき、砂塵を吐き出すばかり
ザアアアア…
世界が砂に埋まってゆく

眠りに落ちる時
砂嵐は静かになる
そこにはあたたかなぬくもりが拒否する事なく手を広げて待っていてくれる
だが、けして、けっして、この手の中にとどめることの出来ナイ残酷で無邪気なぬくもり
そしてまた砂嵐が荒れ狂い出す……

――尖に捧ぐ――

 

FIN

詩に対して残酷と言うのも、なかなか難しいのでちょいとこれはどうしよう………。
残酷と言うより、虚無感とか孤独とか、そう言う感じですね。その度合いで付けたらどうですか。
なるほろ。そうしよう。
  評価点(10点満点) A/T酷点:5穂邑怒点:5