人間失格

           by osora


 

 『くぅっ・・・』
真っ暗な部屋に男の声が聞こえている。声の主は穂邑霧人である。
一人、ベットに横たえられていた。しかも両手首は背中に回され一括りになっている上、足は片方ずつ太ももと足首で結ばれている為、嫌が応にも足を広げなければならないのである。
その体勢の苦しさに声をあげ、さらに穂邑を苦しませているのは開かれた足の中央にあるモノだ。
無理矢理に高められた穂邑のものは根元を細い紐で括られているのである。
イキたくてもイケない。終わりの見えない快感は苦痛に変わっていく。
『はぁっ・・・う・・・んっ・・・』

キイッ・・・と音を立てて暗闇に光が差し込んだ。一人のシルエットが穂邑の目に映った。
その人影は穂邑貞司・・・幼い霧人に3年間もの間、性的な暴行を加え続けた張本人である。

霧人は自分の店である“キッド”に向かう途中、突然黒塗りの車が横に無理矢理車内に引き込まれた。
車内に乗っていたのは黒服の若い男と穂邑貞司であった。霧人がその男を自分の父親だと理解した時には口元にハンカチがあてがわれ気を失ってしまった。そして、目が覚めたときにはベットの上だったのだ。

『霧人・・・』
苦しみにうめいている霧人に向かって優しい声が掛けられる。ピクッと霧人は反応した。
『と、とうさ・・・・・・ひぃぃぃぃっっ!!!』
こともあろうに貞司は霧人のモノを優しく撫ではじめたのだ。触れるか触れないかの曖昧な愛撫は 今の霧人には辛すぎるのである。
『やっ!・・・・・・やめっ!!・・・・・・ああっ』
『大丈夫か・・・?』
この人は何を言っているんだろう、と思う。自分を苦しめているのは間違いなくこの人なのに、大丈夫かなどと問う。
この人が分からない。
(平気なわけないでしょうっ!)
まともに話すことの出来ない口は放っておいて無言のまま貞司を睨みつける。
すると、貞司は表情をサッと変え霧人を殴りつけた。
『なんだ、その目は!!』
『・・・つっ』
顔をベットに擦りつけていた霧人に素早く目隠しをする。
『もう止めてくれよぉっ・・・!!』
手足の自由は奪われ、視界すらさえぎられた霧人に許されるのはただただ静かに耳をすますだけ。
と、カチャカチャと何かをいじっている音が聞こえてきた。
『あっ?・・・・・・んぅっ!!』
慎ましく閉じられていた蕾に何かがあてがわれる。それはチューブのようなものであった。
『これはお前を気持ちよくするものだからね・・・。なにも不安がることはないんだよ』
『くぅっ・・・・・・っっ!!』
指先が蕾の中にのめり込む。蕾を慈しんでるかのような動きで丁寧に丁寧に塗りこんでいく。
『・・・あっ!いやぁぁぁぁぁっっっっ!』
貞司の指が抜け出たとき、霧人の体の奥で何かが蠢き始めたのだ。ザワザワと何かが動いている。
『いやぁっ、とめてぇっ・・・お願っ!・・・ひぃぃっ』
『も・・・外してぇっ!』
イケないでいるものを一刻も早く解放してほしい。しかし残酷な指先はなおも弄び続ける。
『ごめんなぁ、霧人・・・。』
貞司は不意に根元を結んでいた紐を解く。
『あああっっっっっっ』
そのまま霧人は気を失ってしまった。

貞司は気を失った霧人に近づき後ろにバイブを差し込んだ。よっぽど衝撃が大きかったのかそれでも目を覚まさない。
スイッチを入れるとヴィィィと音を立ててうねり始める。
それを見て貞司は微笑んでいた。

霧人は久しぶりに夢を見ていた。母さんもいて霧子もいる。隣には優しく微笑んだ父さんも。幸せだった。夢の中では。

ここはどこだ・・・?
僕は何をして・・・。

はっと気付く。両腕に痛みを感じ、体が自由にならないことを実感した。いつの間にか目隠しは外されていたが両足は最初のまま解かれてはいない。するといつから後ろにいたのか貞司がナイフを持って霧人のそばに立っていた。
霧人は自分を拘束している縄を解いてくれると思ったのか、ホッと顔を綻ばせたが、それは間違いだったのだ。貞司はそのまま持ったナイフで霧人の太ももを突き刺した。
『うああああっっっっ!!!!!!!!!!!』
激痛に言葉も出ない。しかし貞司は突き刺したナイフをひねった。
『!!!!!!!!!!!!!!!!』
血が溢れ出し、貞司の顔も全てが鮮血に染まった。シーツにも血が流れ落ちる。
ナイフを抜き取った貞司はさらにその場所に手を差し込む。
『いやあああああああっっっっっっ!!!』
『暖かいなあ、お前の内部は・・・。』
傷口をなおも広げるかのように内部を撫で回す。
『ひぃっ・・・ふぅっ・・・ぐぅ・・・・・・!!』
もはや叫び声すら上がらない。

『殺しはしないよ?でも父さんはお前にそばにいてほしいんだ。わかるね?』
無我夢中で頷く。もうこんなところにはいたくなかった。逃げ出したかった。でもそれじゃこの饗宴はとまらないんだ。
自分に言い聞かせるように必死で頷く。
そんな霧人に気を良くしたのか救急箱を持ってきて手当てを始めた。
『・・・と、さん・・・自分でっ・・・・・・やるか・・・縄っ解い・・・って。』
『ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!!』
貞司はたった今消毒を終えたところを爪で抉った。グチャと音を立ててまた血が吹き出る。
『お前は父さんの言うことを聞いていればいいんだよ?余計なことはしなくていいんだ!!』
『はっ・・・いっ・・・・・・』
 
 

まだ夜は明けない。いや、例え明けたとしてもここから帰ることは無理なのだ。
もう囚われて逃げ出すことは・・・出来ない。

 
 

(終)
 

…………。(流石に眉間に皺)
マジでやりそうだもんね、あんたのパパ。流石のあんたもこっち系は弱いんじゃないの? 唯一のウィークポイントってゆーか。ところで、あれ以来、店には来てないの?
いやそれが……僕は見ていないんですが、何人かの客さんから、パパまた近くに来てたのに会ってやらないの? いい加減許してやりなよ、と………。
う〜〜わ〜〜〜。マジで洒落になってねぇ!!
  評価点(10点満点) A/T酷点:9穂邑怒点:10